宮崎駿「大事なものは面倒くさい」

2014.09.18

大事なものは面倒くさい。面倒くさくないとこで生きてると、面倒くさいのは羨ましいなと思うんです。

宮崎駿

「宮崎駿の本音」

アニメを作成するということは、

細かい作業を膨大な量をこなすことで、

例えば「崖の上のポニョ」は

２時間くらいで１７万枚も描いていて、

１秒あたり２３〜４枚を使っている計算になり

単純に映画を見ている私たちは、

１秒間の間に２３〜４枚の絵が流れたことは

まったく気づいていません。

ただ、この枚数が減れば減るほど、

絵の動きの滑らかさが失われるそうです。

１７万枚を宮崎駿さんが全部描くわけではなく、

スタジオジブリのアニメーターさんが

１枚ずつ描きあげていっています。

なので、アニメは制作は時間がかかるそうです。

考えてみれば大変さがわかるかもしれません。

実写で人が１０秒間走っているだけの

何でもないような平凡な映像だったとしても、

アニメでは２３０〜２４０枚の絵を描いています。

しかも、背景も変わっていきますし、

人の動きも１つ１つ描いていくことになります。

また、実際のアニメーターでないとわからない

隠れた苦労は山ほどあることでしょう。

しかも、１秒間に２３枚くらいだとすれば、

０．０４秒に１枚の絵を描いていますが、

０．０４秒で人が動く動作は微々たるもので、

ほとんど変化のないような絵に、

少しずつ変化を付けていくということは、

途方も無い作業だと言えます。

アニメーターは好きでなければやれないでしょう。

漫画を描くのが好きというのとは違います。

読者や視聴者である私たちは主人公などの

目立つ場所ばかりに注目しがちですが

背景や人だかりも描く方はしっかりと描き、

表情や動きをつけているので、

「ここがすごく大変だったんだよ〜」

とアニメーターが言っているところは、

観客の私たちが気づかないような

ことかもしれない細部でしょう。

ただ、そうした面倒くさい作業こそが

大作を作っているのでしょう。

アニメに関わらず、たいてい大きな仕事は

細かい準備や作業の積み重ねです。

１日２日の思いつきでは、

たいして良いものをつくるのは難しい。

ただ、音楽などは思いつきで創ることも

大いにあるそうです。

ただ、アイデアは思いつきでしょうけれども

それまでのアイデアや技術を支える努力と

下積みの影響が少なからずあります。

逆に言えば、下地が無ければ思いつきを

作品にすることは難しいでしょう。

ただ、そうした下地や努力や積み重ねを

全くしなくていい時間を過ごしていると

何か凝ったことをしたくなる。

面倒な料理やケーキを作ってみたり、

部屋の模様替えや大掃除をしてみたり、

プラモデルやパズルを作ってみたり、

太い本を読書してみたりする。

面倒なことを楽しんでやってみる。

その後に何にもしない時間を作る。

急にヤル気がでてくるかもしれない。

人によってそれは仕事なのかもしれません。

刀鍛冶
　
包丁やハサミや日本刀等は
鉄の塊を熱い火にくべて赤くさせ
それをハンマーで何度も打ち付けます。
１回で想い通りの形になることは無く
何度も何度も叩いて整形していきます。
また、端から見れば単純にハンマーを
振り下ろしているだけのようにも
見えますが、わずかな力加減や打ち方で
微妙な変化をさせているのです。
１本の刃物に対して何度もハンマーを
打ち付けるのは面倒でしょう。
ただ、そうでなければ良い刃物は
生まれて来ないので仕方ないのです。
　
　

料理
　
美味しい料理を作るためには
入念な仕込みが必要となります。
しっかりと洗い、皮をとって、均等に切って
下味をつけて料理を作っていきます。
そうすることで雑味がなくすきとおった
食材本来の味を引き出すことができます。
バーベキューのようにあえて豪快に
大雑把に作る方が良い料理もありますが
美味しい料理はそれなりに下ごしらえが
必要になってくるのです。