2015.08.16

今夜は二度と戻らない

 

  

 

小説「ロング・グッドバイ」

フィリップ・マーロウ

レイモンド・チャンドラー

 

 

 

作中でフィリップ・マーロウと

お金持ちのお嬢様でバツイチの

リンダ・ローリングが素敵な夜を

２人で創り上げた後の言葉です。

 

星座や月の満ち欠けは周期的に

同じ姿を見せてきます。

晴れていて星がよく見えたり、

雨が降って見えないこともありますが

同じような空は巡ってきます。

ただ、まったく同じ空はありません。

 

誰かとバーでお酒を片手に話す時間は

同じようなことがあるかもしれませんが

まったく同じ夜というものありません。

まずは会話の内容が違ってきます。

細かいことを言えば、同じカクテルを

注文したとしても味が違ってきます。

ファッションや雰囲気や表情などを

よく見ればすべてが違ってきます。

 

２人の男女が愛しあっていたとして

彼らは愛を何千回、何万回と語り合う

でしょうけれども、同じ夜は、

１度としてもありません。

また、何千回、何万回とするキスも

同じものは１度としてもありません。

 

２人の恋人が何度も愛しあう時も

同じことをしているようですが

細かい部分に目を向けてみると

同じ夜は１度としてもありません。

 

 

そうした感じで当たり前だと流していたら

あるいは、いつも同じと思っていたら、

その価値をわからずに過ごしてしまいます。

なので、「今日は２度と帰ってこない」

という感じで神経を張りつめたいところです。

ぼ〜っとしていると大切な瞬間を逃して

後から後悔することになるかもしれません。

 

 

 

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