テリー・レノックス「アルコールは恋に似ている」byロング・グッドバイ
アルコールは恋に似ている。最初のキスは魔法のようだ。二度目で心を通わせる。そして三度目は決まりごとになる。あとはただ相手の服を脱がせるだけだ。
「ロング・グッドバイ」
テリー・レノックスの言葉
レイモンド・チャンドラー
(村上春樹訳より)
The Long Goodbye
は読書家の中では有名な作品です。
レイモンド・チャンドラーの
探偵フィリップ・マーロウシリーズの
最高傑作との呼び声が高い物語で
サイドメニューまで美味しいです。
タイトルの言葉はフィリップ・マーロウと
テリー・レノックスという友人が
バーでお酒を飲んでいる時に
テリーがマーロウにいう言葉です。
テリー・レノックスは金持ちのお嬢様と
結婚した、いわゆる逆玉結婚の夫であり
妻のお嬢様がとんでもない遊び人で
そのお守りをするのが自分の役割だと
マーロウにぼやいたりもしていました。
そんなテリー・レノックスはなかなかキザで
ナイーブな性格の持ち主です。
アルコールは恋に似ている
最初のキスは魔法のようだ
二度目で心を通わせる
そして三度目は決まりごとになる
あとはただ相手の服を脱がせるだけだ
なんとなくイメージができる人もいれば
全然何のことかわからない人も
なかにはいらっしゃることでしょう。
お酒に限らず他の飲み物や食べ物も
1口目はサプライズでよくわかりません。
「わからないけど、何か美味しい」
という感じでしょうか。
あるいは、ビールの喉越しのように
勢いを味わうものかもしれません。
2口目で注意深く味わいます。
「どんな材料を使っているのだろうか?」
「他の似ているものとどう違うのか?」
「それとも他の要素があるのか?」
そんな感じで良く味わってみます。
3口目からは自分に合った味わい方をする。
1口目のような驚きはなくなった。
2口目のようなコミュニケーションもない。
ただ、3口目は自分流を手に入れている。
後はただただ終わりまで飲むだけです。
驚きやコミュニケーションや流儀も無く
ただただ惰性で決まりきった作業を
たんたんとこなすだけです。
そして行き着く先は愚かものです。
酒を呑んでいるはずが呑まれてしまい、
自分を見失ってしまいます。
恋もそれと同じようなものかもしれません。
1度目に出会った時は舞い上がっています。
同郷だったり、好きな音楽が同じだったり
人生設計が似ているというだけで、
運命のように感じるかもしれません。
あるいは奇跡のように感じるでしょう。
次の約束の日が待ち遠しいでしょう。
2度目に会った時には心の準備があります。
1度目に舞い上がった気持ちを残しつつ
もう少しお互いを知り合いたいと望んで
色んな質問をして相手を知ります。
同じように質問して欲しいと望みます。
そして、それを叶えあおうとします。
3度目に会った時には愛しあっている
という確信を持って会います。
スキンシップがかなり多くなります。
手を繋いだり、ハグしたり、
頬ずりをしたり、キスしたりします。
体で愛情を感じとろうとします。
そして、後はお決まりのパターンです。
夜が2人を包み込んでいきます。
暗闇に小さな光を灯します。
朝になって新たな日が始まります。
暗い人生が明るくなったのです。
そして、次の夜も同じ…。
また次の夜もまた同じ…。
飽きるまでずっと同じです。
そして、いつか別れがやってきます。
そして、1人になったその人は
あた新しい人と出会います。
1度目の出会いは魔法のように…。
以下同文です。
バーテンダー
バーテンダーはバーのマスターです。
お客にオーダーされた酒を作って
出しているだけではありません。
お客が何かを言う前に雰囲気や
動作を察して先回りして
サービスをしたりします。
さらには、お客が気にする前に
気にならないように動いて
当然のように居心地のいい空間を
作り上げていったりもします。
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